第121回 教育と経験

  • レポート
  • 2015.07.31

成功の定義は難しいのですが、少なくとも経済的に成功している社長の方々との間で、子供に何を遺すべきか、という話が出ることがあります。

私自身、二児の親なので、遺すほどの財産があるわけではないですが興味深く聞くことになります。

もちろん相続税のような税金は極力避けるにしても、子供にオカネや財産を遺すことを第一優先にすべきかどうか。
その答えはNO。

というのも、自分がなんとかやって来れたのは、家が裕福だったからではないし、親が財産を遺してくれたからでもない。
逆に裕福になりたいな、と思って頑張ってきた結果であるので、そのようなハングリー精神はプラスだったと思う。
だから、何もしないで家賃収入が毎月入って来るようなものをたくさん遺すのはかえって有害なのではないか、とも。

たしかにそうかもしれません。

以前こんなことがありました。
かつて私共事務所がお借りしたオフィスの大家さん。
不動産所有&管理会社の社長さんでした。

契約の席で挨拶してお話をしていても、おどおどしてしまってあまりピンとくる反応がない。
普段接する経営者の方達とはどうも違うのです。

趣味の釣りの話になった時だけ、竿やルアーの話でイキイキして、それが終わるとまた同じ状態に戻ってしまいます。
社長としてどころか一社会人としても頼りなく、なんか変な感じだな、という印象を受けました。

打合せが終わった後、仲介に入ってくれた不動産会社の社長さんにそれとなく話を聞くと、お父さんは一代で成功した方のようで、息子さんはそれをそのまま受け継いで大家さん業のみの会社の2代目社長をされているとのこと。

(かなり失礼な話をしていますが、)生活には困っていないのですが、あまり良い結果を得ているようには見えませんでした。

じゃあ、何を遺すのか。
冒頭の話の続きで出てくるテーマの結論は、教育と経験です。

オカネを蓄えるのではなく、子供本人の中に可能性を蓄える。

昔のことわざかなんかで、(老子の言葉とも言われていますが、)「魚をあげるのではなく、釣り方を教える」という話。
そんな感じなのですが、今の時代にさらに進めると、釣り方自体ではなく、本人の中に釣り方を導く根源にあるものが醸成されることを求めるわけです。

この話は資産家に限ったことではありません。
教育・経験とも、オカネをかけたものが良い教育・経験とは限らないからです。

オカネがかかっていなくても、子供にとっては何物にも代えがたい経験というものはいくらでもあるでしょう。

私立校出身者が、公立校出身者より優れているか。
これも関係ないと思います。

オカネをため込むのではなく、次世代の可能性のために使う。
子育てもそうですが、経営もそうすべきなのかもしれません。

こんなことを書きながら、色々もっとちゃんと考えよう、と改めて思いました。

*********************** まとめ *****************************

遺すべきはオカネそのものよりも教育と経験。
次世代の中に可能性を蓄える。

*********************** あとがき ***************************

事後報告ですが、今日までの3日間(7/29-7/31)、
ビックサイトの下記展示会に、メーカーさん、施工業者さんに混じって、会計事務所としてはかなり異色ながら出展しました。
http://www.jpea.gr.jp/pvj2015/
http://www.npr-event.jp/pvj2015/events/E1000.php?id=115617

会計事務所が手伝うことで、一定の場合かなりの節税になる税制があるので、それをやりますよ、と無料税務相談ブースとして出した次第です。
また、出展者としてセミナーを行う機会もあって、うちのメンバーが講演しました。

ただ、他のブースは派手に飾られ、コンパニオンのお姉さん達が接客したりグッズを配ったりする一方、うちのブースはスタッフががんばってくれているものの見るからにつまらなそう。

会計事務所だからそれでかまわないのかもしれませんが、後半は徐々に工夫を加えてほんの少しだけましになりました。

良い経験になりました。