第144回 投信嫌い

  • レポート
  • 2017.06.30

私は投資信託が嫌いです。
もちろん、良い投資信託を買えばプラスのリターンが来ることがあるのでしょう。

ただ、私の経験ではそうした経験はほぼゼロ。
じわじわと基準価格が下がって行って1万だったものが8千に、といったことも多くありました。

こんな経験を何度かしているうちに、人にカネを払って損するってあり得ないな、と思うようになりました。
まだ自分の責任で損した方が納得できます。

投信は気をつけた方が良いのではないか?

こうした疑念は、相続税の申告に関与していくうちに確信に変わりました。

亡くなった方が投資信託を持っていることも少なくないのですが、ほぼ100%損していました。
私は税理士業務を始めて17年経ちますが、その間ずっとです。

つまり、相場変動で損することも得することもある、というのは理解しますが、17年間ずっと損していたら、この先も同じではないか?と考えるのも無理からぬところだと思います。

それなので、今持っている投資信託は、メガバンクの担当とのお付き合いで買ったUS-REITのみ。
(アメリカの不動産を対象とする投資信託です)

それも基準価格が下がってじわっと損していて、さらに定期的にこんなはがきが届きます。
特別分配金 2,000円
元本への繰入額 2,000円

この意味は分かりますか?

特別分配金というのは、元本を取り崩しての分配金。
元本への繰入額というのはそれを元本に組み入れたという意味です。

つまり、元本からいったん2,000円出して同額戻しました、というのをはがきでお知らせされているわけです。
なんだそれ。

ただでさえ損しているのに、こんなお知らせにコストを使っていれば世話がありません。
そんな投信嫌いになっている私に、件のメガバンクの担当者は今週、耳寄りなご案内(?)を持ってきてくれました。
「これはほぼ元本割れしませんよ。
その割に年利0.04%と比較的高めです。
100万円だけでもやってもらえませんか。
6月は四半期なのでお願いします。」
とのこと。

100万預けて年400円。

こんなの申込書を書いているうちにお互いの人件費が飛ぶじゃないですか、と言ってお断りしました。

憎めない人なのですが、銀行さんも大変なようです。

良い投信というのもあるのかもしれません。
「貯蓄から投資へ」というメッセージにも基本的には賛成ですが、金融機関が自分のために作った商品に安易に乗らないように気をつけましょう。

*************************** まとめ ********************************

投信には気をつけましょう。

***************************あとがき**********************************

採用の面接では、「なぜ会計事務所を選んだのですか」と聞くことがあります。
ある時の答えが「姉として、弟の確定申告を手伝っていて税金に興味を持ったからです」でした。

新卒の面接ですから、その弟となるとかなり若いわけですが、プロの将棋棋士だとのこと。
続く選考も通過して、入社してくれました。

その弟さんが今週月曜日、竜王戦のトーナメントで藤井聡太四段と対決。

私自身は何の努力も貢献もしていないのですが、勝手に身内のような気持ちで応援しました。
本当に若い才能同士の真剣勝負。素晴らしいな、と思いました。