(メルマガ)サブスク問題

  • レポート
  • 2019.12.15

ごく最近、会計業界の一部で結構な議論に
なっているのですが、クラウド会計ソフト
freeeの値上げの問題があります。

御存知かどうかは分かりませんが、fre
eeは、クラウドで利用できる会計ソフト
として、Fintechの代名詞的な存在
です。

これまでのように購入してインストールす
るソフトのスタイルではなく、月々〇〇円
を支払ってネット経由で利用する、今流行
りのサブスクリプション(継続課金)モデ
ルです。

ネットバンクと連動して会計仕訳が一部自
動化できたり、ブラウザで使えてWind
owsPCでなくても良い、といった便利
な点があって、それに加えて強力な営業力
で多数のユーザーを獲得しています。

(ただし、何もしないで自動化されると期
待して、いい加減な人が導入すると、まっ
たくとってもどうしようもなく収拾がつか
なくなります。念のため。)

その開発・販売会社であるfreee株式
会社が今月17日、マザーズに上場します

ただ、その最終損益は
2015年 ▲9.8億
2016年▲21.3億
2017年▲22.5億
2018年▲34.0億
2019年▲26.9億
と直近まで大幅な赤字続き。

開発・営業を先行させてきたので、上場後
は黒字化の道筋を見せる必要があるのでし
ょう。

上場に先立つ9日(月)、一般ユーザーに
先行して、主に会計事務所から構成される
認定アドバイザーに向けて配信されました

既存サービスの一部を制限する。
今まで通り使いたい人・会社は上のプラン
に移行してください。
というもの。

この改訂で利用料が10倍になるユーザー
が出てくるので、冒頭の議論は、いくら黒
字化を目指すにしてもこんなことをして良
いのか?
というものです。

会計ソフトは、過去のデータを引き継いで
いますし、ユーザーはその利用方法に慣れ
ていますから乗換が極めて困難。
そのため、いったん導入するとなかなか変
更できなません。

それを分かってひたすらオカネをかけてお
客を集め、動けなくなったところでの値上
げ告知。
数か月の猶予期間を設けるものの全ての既
存ユーザーが対象のようです。

実際、同社の有価証券届出書には、
「高い安定性を誇る財務モデル」と題して
「売上高合計に占めるサブスクリプション
売上高の比率は90%超」
「低い解約率を実現しております。」
「既存顧客へのアップセルやクロスセルも
順調に進展しており」
と、投資家に対してアピールしていますか
ら、これは意図的な既定路線。

ただ、ちょっとやりすぎとの声も聞かれま
す。

たしかにそんな気もするのですが、これだ
けはっきりとやると、むしろ清々しい気も
します。

このような話は程度の差はあれ他のネット
企業でも似た話があって、
今回のように10倍であれば乗換も考えら
れますが、たとえば毎年5%ずつじわじわ
値上げされたらその機会を逸したまま受け
入れることになるでしょう。

サブスクリプション型のクラウドサービス
は、便利で安価ということで、WEBから
メールからグループウェアまで、基幹IT
ツールの大部分を委ねているところが多く
、私の事務所でもまさにそう。

ですから、各ツールに対して同じことをさ
れても、基本的にすべて受け入れざるをえ
ません。
その意味では無防備です。

サブスク問題と書きましたが、これは今回
のfreeeユーザーに限った話ではなく
、この問題に極めて多くの個人・企業がさ
らされていて、今後もますますその傾向が
強まっていくでしょう。

提供サイドとしては回収が必要ですから、
こうした売り方は一つの手段だとは思いま
すが、解決されるべき問題があるように思
います。

利用にあたって、これまで意識されてこな
かった考慮すべきリスクとも言えるでしょ
う。

以上、解決策がない提言のようになってし
まいましたが、うすうす気になっていた問
題を取り上げてみました。

追伸
9日発表後に炎上に近い騒ぎになったから
か、13日に本発表されたプランは激変が
緩和されていました。

良かったのですが、ここでも簡単に料金を
一方的に動かせる状況を改めて目の当たり
にすることになりました。
問題はそのまま残っています。

■まとめ
___________________

サブスク型のツールには解決されるべき問
題があるのではないか。

■編集後記
___________________

今年もあと半月となりました。

社内メンバーとの年賀状のやり取りは止め
ることにしましたが、お客様には例年通り
お送りすべく準備をしています。

何百枚にもなるのですが、
・届いたからと言ってお客様に評価される
 か微妙。
・手違いで届かなくても何の問題も起こら
 ないのではないか。
・じゃあ何で送っているんだ?
とか思いつつも、
いやいやご挨拶だから、と自分を納得させ
ています。