(メルマガ)オカネをかけても

  • レポート
  • 2020.02.15

 

 

贈与・相続。
ネットや新聞・テレビでもたまに取り上げ
られます。

相続税は、実際には亡くなった方の8%程
度にしかかからないので、国民全員で心配
する話ではないのですが、それでは面白く
ない。

そこで、少し極端なことを付け加えて心配
を煽る。

そして、あんたは知らないと思うけど実は
こんな対策がある、と解決策を示す。

「ただし、実行する場合には税務署か税理
士に確認してください。」
と責任逃れを最後に書いて締める。

というのが通常パターンです。

読み物としては成立しているのでしょう。
ただ、専門家ではないことを逆手にとって
、適当なことを書き散らしているものも見
受けられます。

「税務署か税理士に確認してください。」
と言われても、ご自身で商売をされている
方を除くと、どちらも気軽に相談する先と
しては微妙のようです。

税務署は警察と同じイメージを持つ方もい
らっしゃるようですし、税理士はオカネが
かかる。

じゃあネットと本の情報だけで、、、とな
るのもわからないでもありません。

先日、そんな流れで対応したのかな、とい
う事案がありました。

相続時精算課税に関するものでした。

相続時精算課税制度。
聞かれることがあるかもしれませんが、メ
リットだけ示せば
「これを使うと2500万までは贈与税が
かからない!」
です。

ただ、読んで字のごとく
「相続時」=要は亡くなった時に
「精算」する「制度」。

つまり、今のところは贈与税の発生を抑え
る一方で、将来亡くなった時の相続税に先
送りする制度です。

もともと贈与税法という法律はありません

贈与税は相続税法の中にあって、両者は兄
弟のようなものなのですが、特にこの制度
は両者が一体となっています。

 

今回の事案の発端は税務署からの電話でし
た。

「昨年申告いただいた○○さん。
精算課税分の贈与が漏れているようなので
すが、ご本人に確認してご連絡いただけま
すか。」
とのことでした。

言い換えると、昨年提出した相続税の申告
に、「過去に相続時精算課税で受けた贈与
分が入るべきなのに含まれていないようで
す」とのこと。

はて。

ご依頼時に過去に受けた贈与は聞くように
していますから、単純に漏れるとも思えな
いのですが、税務署が言っている以上、た
ぶん何かあったのでしょう。

1年ぶりくらいに連絡を取るご本人にその
旨伝えます。

いや、ないと思います。
うーん、でも10年以上前に家を建てると
きに何かそんなことがあったかな。
週末少し探してみます。

翌週月曜日。
これかな、と出てきたのは、平成18年に
300万円の贈与を受けた旨の申告書でし
た。

もう14年も前。

よくありましたね。
と言いつつ内容を電話口でお尋ねすると、
相続時精算課税と書いてあるとのこと。
税額はゼロ。

なるほど。
お父様が子供に300万をあげた分を、そ
の時点の贈与税ではなく将来の相続税に先
送りにしたわけです。

当時は相続税の基礎控除額が高かったから
勝算があったのかもしれません。

税務署に、
「この300万のことですか?」と聞いた
ところ「そうです」。

最初から「平成18年に300万の相続時
精算課税の贈与があったのではないですか
?」と聞けば良いのに手の内を見せず、あ
えて心当たりを探させるわけです。

意地悪なのですが、まぁしかたありません。
彼らとしたら、ひょっとしたら他にも何か
出てくるかもしれないからでしょう。

当然ながら修正申告を出すことになりまし
た。

相続財産に単純に300万を載せて相続税
を計算しますから、この方の税率はそれほ
ど高くないにもかかわらず、すぐに50万
近い追加納税額になり、そこに延滞税等の
付帯税がかかります。

なんかもったいない。

300万だったら精算課税を使わず、毎年
110万の基礎控除内の贈与(暦年贈与)
をやれば申告なしで3年で動かせますから
、そうすれば良かったのに。

仮に300万がすぐに必要だったとしても
、100万はもらって、200万は借りて
も良かった。

200万は返すべきですが、どこか気が向
いたタイミングで複数回に分けてでもチャ
ラにしてもらえたら、それこそ贈与ですか
ら110万/年以下なら税金はかかりません

そう思うと、大きなオカネを動かすときは
やはり誰かにオカネがかかっても相談した
方が良いなと思います。

見えない知識や情報にオカネを払うのを嫌
う気持もわからないではないのですが、別
に私でなくて良いので、やはり税金のご相
談は税理士へ。

以上、特に新しい制度ではないですが相続
時精算課税という制度のご紹介と、オカネ
を動かすときに取るべきであろうスタンス
をお伝えしました。

■まとめ
___________________

税金の相談は税理士へ

■編集後記
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中学受験が終わった息子。
ゲームと漫画に日々まみれています。

その合間にはお菓子を食べながらテレビ。

テレビの中では、「この4人の女性の中で
50代は誰でしょう?」というテーマで真
剣に盛り上がっていました。

「いいねぇ。何の役にも立たない情報で頭
を休めてるねぇ。」と私。

「うん。でも脳が腐りそうだよ。」
と返ってきました。

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