第37回 申告是認!

  • レポート
  • 2008.05.04

税務調査の結果、会社の申告に修正すべき点がありませんでした、と言われることを申告是認と言います。

税務調査を受けた経験がおありの方であれば、これが極めて稀であることは十分にご理解いただけることと思います。

よく、「税務調査が入るときにはお土産を事前に用意した方が良いと聞くのですが、、、」とご相談をいただくことがありますが、そんなものを事前に用意しなくても、調査官は自らこれに相当するものを発見して、会社側は修正申告に至ることが通常です。
これは、程度の差があれ同じなので、真面目な会社であったとしても、調査の結果が申告是認で終わることはなかなかないわけです。

そのような中、先月私共のお客様(会社)に入った税務調査で申告是認となったものがありました。
当初2日の予定で上席調査官(*)が見え、私も立ち会ったのですが、初日の夕方前にその方針を伝えられ、署に戻られた後、正式に申告是認のご連絡をいただきました。

私共が会計帳簿の記帳処理から税務申告までのすべてお請けしていた会社さんなので、お客様からはお褒めのお言葉をいただきました。

ただ、これは実は過分なお言葉で、実際の要因の1つは、基礎となる会社側の資料の整備・保管の状況が極めて良かったから、ということに尽きます。

なぜなら、私共がどんなに一生懸命やったとしても、会社さんでご用意いただく資料に不備があったり、その後の資料の整備・保管の状況に問題があったら、このような結果になることはないからです。
また、社長がチャレンジャー(=微妙な事案に安全策でなく、挑戦的な方針を選択される方)だったりすると、さらにその可能性は低くなります。

また、それ以外の要因を考えると、この会社さんは取引量は決して少なくないのですが、各取引の流れはほぼ1つのパターンに集約されるので、全体からいくつかサンプルを取ってOKとなると、「これは全部見ても同じだな」、ということが容易に想像できたことがあったかと思います。

どのような業界にあっても、会社が行う取引が1つのパターンだけということは稀なので、通常、調査官が帳簿や請求書等を見て、「これはどのような取引ですか?」「この件は、○○の取引だったのですが、前金をもらってその後△△になって、、、、」といった個別の照会、説明のやり取りが発生します。その場で完全な答えが出ないときは、改めて資料を出して、、、ということをやりますので、日程内で終わらないどころか、テーマだけ絞って、後は税務署と私共で引き続き資料のやり取りをしながら収束させていく、ということもあるわけです。 というか、むしろこちらの方が一般的かもしれません。

今回は、税務署も申告を認めることがある、ということをお伝えしました。  なお、繰り返しますが、これはめったにあることではありません。  そのため、今回のお話は、私共にお任せいただくと申告是認を請負うとか、お約束するとか、そのような類のものでは一切ありませんので、その点ご注意ください。

(*)上席調査官  税務署が行う調査の担当官は、事務官・調査官・上席調査官・統括、の順に偉くなります。  税務調査の現場に来るのは通常上席調査官止まりで、統括はめったに来ません。  (とはいえ、稀に来られることはあります)
そのため、現場での微妙な案件に関する会社とのやり取りでは、税務署の担当官が「統括がうんと言わないので、、、」と言って、自分は会社の主張を理解するのだけれども影のビッグボスが分からず屋なので、、、と言って話をまとめに入ってくることがあります。(統括が本当にそう言っているかどうかは分かりません。)