第191回 一口馬主

  • レポート
  • 2021.05.31

皆さんは一口馬主というのはご存知でしょ
うか。

競走馬を一人で買って所有するのは大変な
ので、それを何口かで分けて共同所有する
もの。

競馬好きな方は、馬券を買うだけ、馬を見
るだけ、では飽き足らず、所有したいとい
う気持ちになるらしく、大変人気のある制
度。

お客様にも、これを使って会社で何頭か所
有されている方がいて、事前に出走情報を
いただく私たちも、少額ながら馬券を買っ
て楽しませていただいています。

先日のG1、その前のG2、となかなか活
躍中。

社長からは、それならご自分でもやってみ
たらどうか、とおすすめいただきました。

社長の手配で招待状が届いたこともあり早
速入会。

ただ、わかってきたのは買いたい馬が買え
るまでには、最初はあまり人気のない馬に
も投じて、誠意なのか、協力姿勢なのかを
見せて、下積みみたいなことが必要なこと。

うーん、そこまですべきかどうか。
ちょっと考え中です。

さて、この一口馬主制度。
実はかなり興味深い制度になっています。

たまたま分かりやすい図がありましたので
リンクさせてもらいました。

https://www.union-oc.co.jp/join/system/

御覧の通り、「匿名組合」が二重に組み合
わされた複雑な仕組み。

「匿名組合」とはファンドを組成するとき
の一形態で、競馬以外でも多くの投資シー
ンで利用されますが、二重に組み合わせる
は珍しい。

ここで一口馬主は、「愛馬会法人」に出資。
実際に競走馬を買うのはその「愛馬会法人
」。
馬を走らせるのは「愛馬会法人」が馬を現
物出資した先の「クラブ法人」。

つまり、一口馬主は二重に組み合わされた
入口でオカネを出して分配を受ける権利を
有しているだけなので、正確には「馬の〇
分の1を所有している」のではないことに
なります。

そして、その権利は基本的に譲渡できませ
ん。

かつて、ここに風穴を開けようというお客
様にお付き合いしたことがありました。

その方の夢は
「一口馬主制度に流通市場を作りたい。」
でした。

株式は発行市場だけでなく流通市場がある。
でも、一口馬主には発行市場だけ。

途中で売りたい人、買いたい人、それぞれ
いるはず。

それをマッチングしたい、
そんな市場を作りたいのだ、とのことでし
た。

その実現のために弁護士さんも巻き込んで
検討しました。

結果として出たアイデアは、
匿名組合をもう1つ組み合わせ、匿名組合
を三重化する。
でした。

一口馬主との間でさらに匿名組合を結んで、
実質的に地位を譲渡する。

おもしろい!
会社でサイトを作り、募集を始めました。

広告を出して少しずつ反応が出てきたころ。

同じくらい少しずつ、不穏な空気が流れて
きました。

具体的には、農林水産省、同省の息のかか
った団体、それぞれから質問を受けたり呼
び出しがかかり始めました。

そうした団体の中には、当時から現在にか
けて、大臣を輩出している一族が代表を務
めるところもありました。

また、愛馬会法人からは、こことは付き合
うなという注意喚起が会員向けに出された
りしました。

競馬はJRAがやっていますが、そこを所
管するのは農林水産省。
その関連団体も含めて、傍からは分からな
い利権のようなものがあるようです。

そこを無邪気に踏み込んでいって、強力に
排除されてしまいました。

結局、システム化まで進めていたものはあ
えなく頓挫。
事業の本格化には至りませんでした。

今なら、その業界の人を巻き込んだり、も
っと気の利いた対応もできたのかもしれま
せんが、当時はわかりませんでした。

ビジネスには、こうした「大人の世界」へ
の配慮が必要なジャンルもありますから、
何かを始めるときは気をつけましょう。

もうずっと過去の話ですから、誰にも迷惑
をかけないと思い、書いてみました。

■まとめ
___________________

注意!
「大人の世界」への配慮が必要なジャンル
もある。

■編集後記
___________________

個人的に馬は大好きです。
高校は馬術部でインターハイに出たことも
ありますから。
(開会式の来賓は、今別件で話題の秋篠宮
殿下でした。)

って書くとすごそうに見えますね。

でも実はその年は東京開催。

都内の馬術部のある高校はだいたい出れた
んじゃないかな、と記憶しています。

そこで私は人馬転(じんばてん)なるもの
をやらかしました。
人馬転の説明は下記にありますが、結構恐
いですよ。
(これも勝手にリンクさせてもらいました)
https://www.inutalk.info/tame/ma/hrs/hr_ouch.htm