(メルマガ)がんと保険

  • レポート
  • 2021.11.15

今回多額の生命保険金が入ったお客様で
(A)保険事故発生日
(B)保険金の支払通知日
どちらで利益を計上するか検討しました。

ちなみに対象はがん保険。
保険事故発生日は、がんと診断された日で
す。

(A)と(B)の間に期末を挟んだので、
(A)だと千万単位の利益が前期に突然入
って税金がUPします。

検討すると通説は(A)
実務感覚ともマッチします。
しかし、わずかながら(B)を支持する説
がありました。

(B)の根拠は、下記データベースにある、
情報開示請求で得たらしい国税内部資料と
される質疑応答
https://www.tains.org/

業界内で一目置かれている先生のブログで
は、だから(B)だと説明されています。

お客様が喜ぶのも当然(B)。
上述の通り、(A)だと、それによる税金
がいきなり発生してしまいますから。

それも分かった上で今回、社長には(A)
をお勧めすることにしました。

ただ同時に(B)もリスクとともに説明し、
社長がそれでも、という場合に限って採用
することにしようと。

なぜなら(B)で行くと、将来の税務調査
で次のような流れになりそうだ、と思った
からです。
(1)千万単位の利益が翌期に回ったので
 正面から取り上げられる。
(2)調査官から根拠を示してくれと言わ
 れる。
(3)上記データベースのプリントアウト
 を出す。
(4)調査官がいったん署に持ち帰る
(5)次の調査日に
  「審理がやはり違うっていうんです」
 と言われる

「審理」とは、審理部門の略で、調査部門
の出す結論が税法に適合しているかをチェ
ックする部門のことです。

これまでの税務調査の経験から、審理がN
Gを出すと調査部門では進められなくなる
ため、調査官やその上司の統括官が気を使
っていることがわかっています。

審理が納得しないから、もっと他に根拠が
ないのか、と言われるわけです。
そうなると、この件に関してはこれ以上の
ものがありません。

通説は(A)
市販の保険税務の本ではだいたいそう書い
てある。
自分の感覚でもまぁそうだろうなと思って
いる。
そうなると突っ張れません。

そこで仕方がないので
(6)修正申告する。
 (重加算税にはならないでしょうが)本
 税に加えて過少申告加算税と延滞税が取
 られる

ということで今回は、社長にもご理解いた
だき(A)で申告することになりました。

幸い早期発見による手術ですぐに元気にな
って、こうしたご判断もすぐにいただける
状態になっていました。

さて、ここまでは税金の話。
さらっと書きましたが、テーマはがんです。

今回は私と同世代のM社長。
たまたま節税目的で入っていたがん保険が
突然活躍してしまいました。

実はその前年、私は別のお客様で、ほぼ同
じケースに直面しています。
やはり私と同世代のK社長。

こちらは発見が遅かったので仕事ができな
くなり、節税目的で入っていたがん保険の
千万単位の保険金で本当に助かった、とな
りました。

つまり、がんは結構身近だということです。
私の同世代=50前後。

生命保険、特に医療保険には賛否がありま
すが、今回のがん保険に関しては、お二人
とも入っていて良かったようです。

ただ、同時に保険金よりも何より早期発見
なんだなと思いました。

K社長おっしゃるにピロリ菌を馬鹿にして
いてはいけない。
胃がんの主たる原因なのに、なぜか日本で
はそれが軽視されていて、自分もそのため
になってしまった、とのこと。

皆さんも早期発見、さらにはがんになった
ときの保険を考えてみると良いと思います。

そのK社長からのもう1つのアドバイス。
昔入った医療保険は役に立たないことがあ
るから見直すと良いですよ。
とのこと。

入院〇日目から日額〇円というものが多い
けれど、かなりステージが上でも最近は入
院をさせない。
こうした保険では対応できないのだそうで
す。

以上、今回は前段が保険税務、後段ががん
への備えについてでした。

あれこれ備えて、お互い健やかにすごした
いですね。

■まとめ
___________________

保険の利益計上は保険事故発生日

がんは思ったよりも身近な問題
→早期発見に努め、保険の見直しもしてお
きましょう。

■編集後記
___________________

一時期まったく減らなかった名刺ですが、
最近ようやく減るようになってきました。

自然に
・せっかくお会いしたのだから、
・せっかく来てもらったのだから、

とあれこれ考えるので、会うことによって
生まれるものがあるのかな、と思います。

実際、最近だと、コスト削減実施中のお客
様の損保(数十台ある車両の自動車保険)
の見直し。

先日、うちの事務所のまったく別件の保険
の更新の機会に、そういえば、となりまし
た。
損保会社のご担当にとっては郵送だけで更
新していたらなかったはずの商売ネタが1
つ発見できたことになります。