(メルマガ)〇〇を上とする

  • レポート
  • 2023.02.15

 

娘の中学受験が終わりました。

ちょうどそろそろ始まるなという頃、「ひ
ろゆき」さんが私立中学は娯楽だと発言し
たというニュースが流れました。

これを受けて私が思ったのは
「あいつ、さすがうまいこと言うな」でし
た。

なぜって、その受験に向けてやっている当
人たちは真剣でも、少し引いて地方などか
ら見れば滑稽でしょうし、私自身、長男の
時もそうでしたが、今回も十分に楽しませ
てもらいましたので。

子供と一緒に年単位で1つのテーマに取り
組み、その過程で色々な学校に行く機会な
ど、他にもうないでしょう。

基本的に中学受験は、学校説明会や受験当
日まで、保護者が付き添うことを前提とし
ていますから、私も何校も行かせてもらい
ました。

そこでは校長先生や、宗教系の学校であれ
ば牧師さん・神父さんに当たる方、さらに
はそこに通う生徒さんからのお話を聞くわ
けですが、ある学校では受験の当日、保護
者に向けてこんな話をいただきました。

吉田松陰の辞世の句に触れて。

有名なのはこちらだと思いますが、
「身はたとひ 武蔵の野辺に朽ちぬとも 留
め置かまし 大和魂」

今回は
「親思ふ 心にまさる親心 けふの音づれ
 何ときくらん」
の方からでした。

親が子を思う心は、子が親を思う心をはる
かに勝るものだが、自分が(安政の大獄で
)死ぬことを聞いて親はどう思うのだろう
か、というような意味です。

保護者の皆さんがお子さんを思う心はこの
ように深いものですね。
今日この日の受験までお疲れさまでした。
というようなことを話されたわけです。

実際はもっとお話が上手なので、周囲のお
母さん方は涙をふいて聞いていました。

さすが松陰先生だ、と私も改めて感服。
このように今も語り継がれ、多くの明治維
新前後を活躍した人たちを育てた松陰先生。

これに通じるものとして、多くの野球選手
を育てた野村克也監督が座右の銘としてい
た、やはり幕末に生まれ明治・大正と活躍
した後藤新平の言葉にも触れておきたいと
思います。

後藤新平は
「財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺
すを上とする」
要は、カネを残すのは三流、仕事を残すの
は二流、人を残すのが一流である、と言っ
たとされています。

カネ<仕事<人
遺す価値は確かにこの順番通りだと思いま
す。
松陰先生も、自分が育てた人たちの成しと
げたことによって輝いて記憶されています。

そこを目指す。
自分がダメだとそれは難しいですから当然
自分も高める。
かなり高いハードルですが、目指す方向性
はここかもしれません。

冒頭の話の通り、娯楽とも言われる中学受
験を終えた私も、まずは自分を高めつつ、
子供や社員が立派に育つようアシストをし
ていけたら、と思います。


■まとめ
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人を遺すを上とする


■編集後記
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本文の話を聞いたとき、
あれ、このとき松陰さんは何歳だったんだ
っけ?
と気になりました。

たしかかなり若かったはず。
改めて調べてみたら享年29歳でした。

ちなみにその松陰先生の門下生、長州藩で
大活躍した高杉晋作は何歳で亡くなったの
か。
27歳。

二人、特に高杉晋作の活躍は『世に棲む日
日』(司馬遼太郎著)でわくわくしながら
読むことができますが、翻って自分は27
歳や29歳のときどうだったか。

間違いなく、自分勝手で不平不満ばかりの
役立たずでした。
それから20年以上経った今。
多少はましにはなった自覚はありますが、
まだまだ。

単に年を重ねたからといって立派な人間に
なるわけでも人格者になるわけでもないよ
うです。

小学生の頃には既に、自分とは違って筋が
通った気持ちの良い友人がいましたから、
生まれ持ったものによってスタート地点の
差も大きい。

となると凡人は時間をかけて精進していく
しかありません。