第59回 型から入る

  • レポート
  • 2010.05.27

イチローのようになりたければイチローの真似をする。
目標とする人の真似をすることは意味があることだとされています。

たとえば、
(1)金持ちになりたければ金持ちの
(2)達人になりたければ達人の
(3)幸せになりたければ幸せな人の
真似をしていると実際にそのようになるそうです。

(1)は成功本と言われる本には当然のように出てくる話で、少し無理をしてでも金持ちの行動や考え方を真似しているうちに実際に自分も金持ちになるという話です。
そこで言われることの一部を挙げると・・・
・少し無理をしてでも、良い身だしなみを心がける。
→よれよれのスーツと磨り減った靴では、相応の対応しかされない。
相応の話やチャンスしかこない。
・小さなムダ遣いを惜しみ、効果がある大きな支出を惜しまない。
→放っておくとその逆をしてしまうから気をつける。
・社会への貢献を考える。
→自分や家族のことだけでなく、もっと広範囲の人の幸せを考え、ボランティアや寄付をしてみる。

金持ちだから良いスーツを着て、大きなカネを使って、寄付ができるんだ。
という考え方を疑ってみる必要がありそうです。

(2)は武道や職人の世界はもちろん、スポーツでのフォームや、広くは職場での作業手順もこれに通じます。
真似をしているうちに、なぜこうしているのかが分かる瞬間があって、達人に近づき、その後自らのアレンジを加えて超えることができるようになるわけです。

余談に近いですが私が大学生のときに、鉄の棒を工作機械(旋盤といいます)で一定の幅に削り出す実習をしたことがありました。
機械に鉄の棒をセットして高速で回転させ、そこに刃を近づけて目標とする直径に削り出します。

削ったものをデジタルノギスというもので0.1mmの精度で測るのですが、私達学生がやると、削り足りなかったり、削りすぎてしまったりします。

その実習室には、担当教授とは別に、機械の使い方を教えてくれるおじいさんがいました。(昔工場で熟練工として働いていたであろう人で、機械油が付いた帽子と作業服を着て静かに控えています。)
学生があまりに困っていると教えてくれたり、代わりにやってくれるのですが、その人がやると、一発で0.1mmの精度でぴったり合うのです。

私達はびっくりしてその所作を真似をします。
セットして少し刃を近づけた後に首をかしげて・・・とやります。
すると、精度が確実に上がるのです。

その所作の1つ1つには深い意味があるのだと思うのですが、わからないまま真似をしても少しは近づけるのです。

(3)は簡単にできることからご案内します。
脳科学者茂木健一郎さんが紹介していることですが、実験によれば、同じ作業をするのでも、笑顔と同じ口角を上げた状態でする場合には、幸せを感じているときの脳波が出るそうです。
つまり、普通は幸せを感じるから笑顔になるわけですが、笑顔だから幸せを感じる、という逆の流れもあるというのです。
したがって、日常もムスッとしているよりも極力口角を上げて笑顔に近い状態でいると、(他人にももちろん良い印象を与えるでしょうが)自分がそれで幸せを感じるわけです。

人は自分がなりたいようになるとも言われます。

こんな人になりたいなと思ったら、その人の真似をしてみましょう。
そして、今その人が自分の立場だったらどうするかを想像して、実際にその通りやってみると良いと思います。
*************************** まとめ ********************************
なりたい人の真似をすれば、その人のようになれる。(近づける)

***************************あとがき********************************

型と言えば昨日、お客様で社員のマナーや役員秘書の研修を手がける会社の社長と役員が2人でお見えになりました。
お二人とも女性で、私よりもいくぶん年上なのですが、なにしろ姿勢が良い。

椅子のちょうど良い位置に腰掛けて、常に不自然でない程度に背筋を伸ばしています。
そこにも完成された型がありました。

私はすぐに深く腰掛けて背を丸めてしまうので途中気づいて何回か直したり、何しろプロが相手なので、お茶を出す女性社員の動作に問題ないか気にしたりしていました。

型はオーラを伴います。
もしこれが何かの勝負だったら、その前に負けているところでした。
良い型を身につけるよう努力します。