第66回 日本経済のゆくえ

  • レポート
  • 2010.12.28

今年最後のレポートとなりました。

今年も失われた何年かの1年にカウントされるのだと思いますが、日本経済の低迷は本当に残念に思っています。

何年か前の予測では、団塊の世代の大量退職と若年人口の減少によって、今頃は超人手不足のはずでした。

それが、未曾有の就職氷河期と言われて問題になっています。
社会にデビューする機会すら得られない若者が大量に発生しているわけです。

このことは中長期的には、平均賃金の低下、犯罪率の上昇、結婚や出産する余裕がないことによるさらなる出生率の低下、超高齢化社会の加速、といったいまいちな状況は避けられないでしょう。

雇用しない企業のせい、耳障りの良いことばかり言って何もしない政治のせい。
もちろんあるのだと思います。

ただ、私も経営者の1人でもあるし、できれば若者を雇っていきたいと思っているのですがなかなか慎重にならざるを得ません。
他の企業もそうなのだと思います。

また、政治の状況も、なんだかんだ言って皆で選んだ結果であり、大きな意味でそのつけを日本人全体で連帯責任のように負っているとも言えます。
(もちろん、こんなひどいとは思わなかった、という声はあると思いますし、ものすごい尻拭いを将来世代にさせようとしている点は我々が勝手に納得して済む話ではないと思いますが。)

たぶん大きな変革期の中にいるのでしょう。

もう少し苦労して、新しい満足できる形を追い求めていくことになるのかもしれません。

変革期と言いましたが、変わっているのは外的環境だけではなく、私達自身でもあると思います。

内需型産業も輸出産業と同様に苦戦しているわけですが、私達のライフスタイルの変化がそれを加速している面は否めません。

なぜなら、明らかにオカネを使わない社会になっている、あるいはなりつつあるからです。

お客様を見ていて興味深く感じているのですが、世代によってオカネの使い方に違いがあります。

私共には、不況といえども一定割合で儲かっているお客様があるのですが、その社長の可処分所得は一般の人の数倍、時には数十倍になります。

その際、私と同世代以上の社長であれば、そこで高い車を買います。

フェラーリやマセラティ、ベンツでも何とかクラスといったとにかく高い車です。
2台、3台持っていることも少なくありません。

先日もお客様の社長同士を引き合わせたら、お一人が乗って来られた車を前に2人で「この車良いですね。イチキューくらいですか?」「いえ、ニーゴーですよ。」「あぁそうですよね。」などとやっていました。

翻訳すると
「このベンツ良いですね。19百万くらいですか?」
「いいえ違います。25百万ですよ。」
「あぁそうかAMGの●●ですものね。」
という内容です。

一方、私より下の世代の社長はどうかというと。
儲かっていてもバイクだったり、場合によっては自転車で移動したりしています。

車は別にほしくないから、ということで、個人でオカネを使うことにはあまり興味がないようです。

上の世代が持っているものを、特に背伸びして求めないのかもしれません。

つまり、少子化とともに、オカネがあってさえ使わない世代が消費の中心となる社会になりつつあるわけです。

手ごわいですが、新しい発展の形を皆でなんとか考えていかないといけませんね。
私も問題提起をしているだけで、なかなか答えが見つかりません。

人口動態からいくと、日本の景気は2020年にもう1つのピークを迎えるという説があります。そのとき消費の中心となる46歳人口が山を迎えるからとのこと。
多くの国の経済を的中させてきた説なので、たぶん真実なのだと思います。

もしそうなら、そのときまでに解決の道筋を出して、来るべきさらなる大きな下り坂に備えなければいけません。

**************まとめ**************

日本は新たな発展の形を皆で考えるべき時期にある。
その期限は2020年。

**************あとがき**************

当事務所も今日28日が仕事納めです。
昨年に引き続きボーリング大会をして、ささやかな賞品を分け合うことにしています。

皆様、この一年ご覧いただきましてどうもありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。