(メルマガ)社長列伝(12)10億とフェラーリとカレー
- レポート
- 2026.09.15
こちらは、隔週に配信しているメールマガジン「成功の研究」のバックナンバーを収録しているものです。配信(無料)を受ける場合は下記で登録いただくことができます。
https://www.mag2.com/m/0001000369
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
久しぶりの「社長列伝」
今回はうちの事務所の創業期を支えてくれ
たI社長です。
おとなしそうに見えて破天荒。
今からご紹介するエピソードは、私にとっ
てはすべて良い思い出だったり得難い経験
なのですが、I社長ご自身にとっては、成
功だけでなく失敗談も含むため、長い間書
くことはありませんでした。
20年近く前のお話、もう良いですよね。
きっかけはI社長からのお電話でした。
うちが起業情報誌に小さな広告を出したこ
とがあったのですが、それをご覧いただけ
たようです。
地方都市で個人事業で創業したが、会社に
したいから手伝ってほしいとのことでした。
世はまさに第一次ITバブル。
「自分は孫正義になりたいのだ」と、I社
長はマンションの一室でノートPC1台だ
けでサービスを開始されていました。
簡単に言うと、生活者と事業者をマッチン
グし、そこに広告を載せるモデルで、今の
感覚では普通に見えるでしょうが、当時は
画期的。
月を経るごとに入金額がどんどん膨れ上が
っていきました。
銀行再編前だったので、まだまだたくさん
の銀行があって、うちにも大量の通帳入力
作業が発生していました。
売上に比べてコストが少ないのでほとんど
利益。
I社長は、当時はまだOKだった生命保険
による節税を数千万単位でやったり、経費
をたくさんつけたり、時にやりすぎて税務
調査でひどい目に遭ったりしていました。
I社長とたまたま同学年の私も、30歳を
過ぎたばかりで、私なりにがつがつやって
いる頃です。
それから数年後のあるときに、I社長にM
&Aの話がありました。
有名なIT企業グループからの打診でした。
今ならしっかり料金をいただくデューデリ
ジェンスも、流れに任せてほぼ無償対応し
ているうちに無事にディール成立。
I社長は、3億円相当の上場会社株と自社
株を株式交換。
当時は上場株の譲渡益は分離課税10%だ
ったので、非上場株を20%のまま売るよ
りも有利だったのです。
それがたちまち値上がりして10億超とな
り、一時は会社四季報の大株主の欄に個人
名が載ったりしていました。
I社長はそれを何回かに分けて売却。
そのころにCAさんと結婚、豪邸を建設し、
何台かの高級車を買いました。
家が完成したの来てくれというので行くと、
玄関を入ってすぐに吹き抜けがあって、2
Fを見上げると廊下が1周はりめぐらされ
て各部屋に続いていました。
◎◎会館、あるいは小規模な大学設備のよ
うです。
地下室があって、自分は幼い頃は裕福では
なかったから、と射撃場があり、大量のエ
アガンが置いてありました。
中村さんも是非撃ってくださいというので、
ライフルとかマシンガンを撃たせてもらい
ました。
まだ自分自身ですべての実務をしている頃
だったので、俺は昼からこんなことやって
いる身分じゃないんだけどな、と思いなが
ら。
それから1年もした頃。
今度はフェラーリにぜひ乗ってほしいから
来てくれとのこと。
アポをとって1週間後くらいだったでしょ
うか、出かけて行きました。
すると、そこには奥様とお子さんが外出中
の豪邸で1人しょぼんとしているI社長が。
どうしたんですか。
と聞くと、株で大失敗しちゃいましたとの
こと。
有り金をつぎ込んでいつもの勢いでやって
いたら思惑と逆になってしまったとのこと
でした。
ため息ばかりついていて、
これまで自分のやりたいことはやったんだ
よな。
もう死んでもいいくらいだ、とか言ってい
ます。
ふぅ、と顔を上げて
「あぁそうだ、フェラーリ乗ります?」
そうですね、お願いします、と私。
練馬から関越自動車道に乗り、ものすごい
爆音とともに加速していきます。
私は、フェラーリのエンジン音は後ろから
聞こえてくるんだ、とぼんやり感じていま
した。
I社長は、終始無言。
さっき死んでもいいって言ってたよな、と
思いつつ、どこまで行くのか聞くのも憚ら
れる雰囲気のまま前の車をかわしていきま
す。
高速の出口を何個か通過した後、ふと我に
返ったようで、ここで帰りましょうか、と
高坂PAに入りました。
ちょうどお昼時。
私がご馳走しますよ、とカレーを買ってあ
げたら、
あぁ、ありがとうございます、と言って食
べていました。
その後I社長は多くのものを手放され、会
社も閉じてしまいお客様ではなくなってし
まいました。
たまに連絡を取ることもありましたが、こ
こ数年はなく、どうされているかはわかり
ません。
ジェットコースターのようでがむしゃらだ
ったなと思いますが、私も当時は、自分や
事務所の将来がどうなるか分からないまま
にあれこれやっていました。
振り返ると、自分自身がそうだったこと、
I社長のことをすごいな・羨ましいな、と
思ったこと、
あれこれ思い出します。
冒頭に書いた通り、私にとってはすべて良
い思い出だったり得難い経験。
改めてご一緒させていただいたことに御礼
を申し上げたい気持ちです。
■まとめ
___________________
I社長との数年間。
私にとってはすべて良い思い出だったり得
難い経験。
改めてご一緒させていただいたことに御礼
を申し上げたい気持ちです。
■編集後記
___________________
本文に書いた「自分や事務所の将来がどう
なるか分からない」
良い経験だったとは思いますが、二度と味
わいたくないものでもあります。
仕事がほしいので、来たものは全て受けて
いました。
というか、本能的に断れないのです。
問題のあるお客様にもまずは我慢。
今ではそんなときは、部下達が判断して解
約を申し入れたりしていますが、当時はそ
んなことは考えられませんでした。
- « 第254回 空気







