第87回 売上、利益、キャッシュ

  • レポート
  • 2012.09.30

今回は会計+アルファの話を。

売上、利益、キャッシュ

通常の営業過程で単純化すると、
(1)利益=売上-費用
(2)キャッシュ=利益+売掛金-買掛金
という関係があります。

先日まで弊社で実施していた連続セミナーでは、
ここ数年の経営の世界では「キャッシュにこだわれ」と言われているが、依然売上にはこだわった方が良いですよ、とお伝えしてきました。

(1)の利益を増やすには
売上↑
費用↓

(2)のキャッシュを増やすには
売掛金↓
買掛金↑
のいずれかが必要になります。

売上↑、費用↓はすぐにわかると思いますが、
売掛金↓は、たとえば回収サイトを短くしたり、支払の悪い取引先と関係解消することで達成できます。
買掛金↑は、たとえば支払サイトを延ばすことで達成できます。

そしてこれらは、売上↓の中で他の3つ(費用↓、売掛金↓、買掛金↑)をやろうとすると無理が生じやすいのです。

売上が下がっているような中では、、、

費用↓をするにも
スケールメリットが効かない。
短期的には大きな支出を伴うが長期的にはコストダウンとなるような施策(リストラやコストダウンにつながる設備投資)が取れない。

売掛金↓をするにも
支払が悪い取引先にも強気に出られず、関係を続けざるを得ない。
(売上が増えないのに、キャッシュの代わりに売掛金が増えていく。)

買掛金↑をするにも
落ち目の会社の支払サイトが延びることはない。
むしろ短くなって、現金払、場合によっては前金が必要になったりする。

つまり、売上にはこだわるべきだ、というわけです。

ただ、今週お話しした社長は、売上最優先のある業界の中、あえて利益重視で独自の成長をされていました。

この業界では、銀行・業界双方で、融資↑、売上↑を求め合って、利益を軽視しながら大きくなって経営がおかしくなるケースが多いのですが、それをあえてやらない。
だから今もうちは残っている、ということでした。

当たり前のことですが、利益も重要。

元も子もない言い方ですが、売上、利益、キャッシュ、どれも重要ということです。

*********************** まとめ *****************************
売上、利益、キャッシュ、どれも重要

*********************** あとがき ***************************

今週はお客様(会社)の税務調査の立会がありました。

調査官は、何か見つけるとすぐに重加算税案件にしたがるので困ったものです。
(経験がおありの方もいらっしゃるかもしれませんが、これは●●。ということは重加では?みたいな乗りですぐに言ってきます。)

調査官の署内での評価が、発見した所得の増差額と重加算案件数によっているようなので仕方がないのですが、社長のうっかりミスにまで言ってくるのはちょっとどうなのかな。

そんなことも含めて現場で調査官とあれこれやり取りしていたら、後で社長から
「先生は静かに(声を荒げたりしないで)戦うんですね。結構気が強いんですね。」と感心されました。

立ち会ってもらうとやはり心強いなどとも言っていただきましたので、お褒めいただいたのかな、と勝手に理解しました。

調査では、別に戦うつもりでやっているわけではないのですが、言うべきは言う、理不尽なことを言ってきたら反論する、という基本姿勢で臨んでいます。