第141回 消費税

  • レポート
  • 2017.03.31

会社の税金には大きく次のようなものがあります。
国税
・法人税
・消費税
・源泉所得税
地方税
・事業税
・住民税

そのうち、税率の関係からその存在感を高めているのは消費税です。
最近は法人税率減、消費税率増の傾向が進んでおり、これからもその流れは変わらないでしょう。

先日は、グループ会社の一社が、たいして儲かっていないにもかかわらず大きな納税をしている。
どうなっているんだ?
とおっしゃる会長にご説明をする機会がありました。

怒っているわけではなく、純粋に知りたいとのこと。

ちなみにこの会社は、設立以来の累積赤字が多くあったものの、今期は黒字300、納税800でした。
そして、納税のほぼ全額が消費税。

それにしてもようやく出た黒字以上の税金というのはおかしくないか?

これについて、次のようにご説明しました。

1.まずは消費税のしくみ
消費税
=売上につけた消費税-支払についていた消費税
です。


売上324円、その仕入108円なら、
消費税=24-8=16円です。

ちなみにこの場合
利益=300-100=200円です。

したがって
16円は、この200×8%とも言えます。

2.貴社の場合
=売上につけた消費税1800
 -支払についていた消費税1000
=800
でした。

3.生じる疑問1
1.の通り考えれば、
利益300×8%=24が納税ではないか?
つまり、今回の納税800は大きすぎないか?

4.3への答え
貴社の費用の半分近くが給料であることが原因です。
給料には消費税がついていません。
つまり、いくら給料を払っても「支払についていた消費税」は変わらないのです。

極端なことを言えば、給料を払っていくら大赤字になっても消費税が何百万、何千万ということがあり得ます。

ちなみにこれが外注費であれば、外注費には消費税がかかりますから「支払についていた消費税」は増え、消費税額は減ります。

たとえば、同じ売上・利益の会社でも
(a)外注中心の会社=消費税小
(b)社員中心の会社=消費税大
となるのです。

外から同じように見えるシステム開発会社でも、(a)の会社の消費税は少なく、(b)は多くなるのです。

5.生じる疑問2
仕組みはわかったものの、なんとかならなかったのか?
もっとオカネを使って費用を出すとかして。

6.5への答え
たしかに経費を積み上げれば多少は減るのですが、、、、

もし、今回の消費税800をゼロにしようと思えば、
消費税のかかる売上を10,000減らすか
消費税のかかる費用を10,000増やすか
のいずれかになります。
非現実的なため、期末に利益を減らして法人税の節税を検討することはあっても消費税が検討されないのはこれが原因です。

以上を通して、なるほどね、と会長にはご理解いただきました。

もともと繰越欠損は大きくあるので、今後もこの会社に利益が発生しても法人税は当面発生しないものの消費税は発生することも。

消費税の仕組みはこの通りある意味単純なのですが、税率アップとともに金額が大きくなりがちなのと、「こうした場合はこう」「これにはかかるがこっちにはかからない」といったルールやその改正も多いので、お客様はもちろん、私たち会計事務所も常に気を遣うところです。

うまく利用すれば、還付を受けられたりしますから、研究対象としても面白い税でもあります。

今日はわかっている人には単なる復習となる、消費税の仕組みについてでした。

*************************** まとめ ********************************

消費税の基本は単純だが、例外やその改正も多い。
決算対策の直接の対象とはならないが、還付スキームの対象となる面白い税でもある。

***************************あとがき**********************************

繁忙期を過ぎ、先日、本をたくさん買いました。

将棋棋士の羽生さんが人工知能を考える本、ビートたけしがテレビで言えないことを書いた本(今は何を言ってもすぐにカットされてしまうそうで)、怪しい投資の数々にあえて乗った人の体験談、有名な「失敗の本質」の続編のような本、本を紹介する本、小説、様々です。

読んでいておもしろいことが多いのですが、あえてここでご紹介するようなネタがありましたらまたいずれ。