第23回 特殊支配同族会社の損金不算入について

  • レポート
  • 2006.09.17

平成18年税制改正は大きな改正点か大きくありました。

特に役員報酬(新しい制度では、旧来の役員賞与も含めてすべて役員給与ということになりましたが)の改正事項は多く、その中でも大きな影響を与えるものに、特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入の規定があります。

これは、簡単にいえばオーナー企業(*)の社長給与の一部を損金不算入にするものです。 (*)オーナー企業:正確には、業務を主宰している役員とその親族等で株式の9割以上又は常勤役員の過半数を占めている会社

この影響は、社長の年収が1,000万であれば60万超(の法人税が増税になるものです。 所得増ではなく、税額そのものが増になるものですから、中小企業にとっては大きな影響を与えるものです。 これがサラリーマン世帯に対してであれば、連日マスコミで大増税批判が繰り広げれれることでしょうが、事業者に対して行われることはまったく関心を向けられないまま通ってしまっています。

確かに、この趣旨は、
・事業者が会社にしただけで、給与所得控除に見合う経費が実質余分に得られているのはおかしい
・会社法の改正で法人化が容易になるため、何らかの対策が必要 というものです。そういう意味で、理屈としては筋が通っているわけなのですが、これまでと同じことをしているのに税金だけ急に上がることに戸惑いを覚える社長は少なくありません。

この影響を最初に受けるのは、3月決算企業の来年19年3月の決算からになります。 4月以降の決算企業も19年4月以降順次対象となっていきます。 そして、上記(*)の判定は期末時点で行われることから、あと半年後を見据えて、該当する会社ではそろそろ真剣に検討していった方が良さそうです。

上記(*)の要件は、ORの要件なので、株式要件か役員株式要件のどちらかでクリアすれば良いのですが、株式をいじるのは慎重にした方が良いでしょう。 そもそも株式は、通常の場合、会社の支配と財産の持分の双方を規定するものであり、気軽に外部に出せるものではありません。

また、制度が導入された当初は、知り合いの会社と11%づつ持ち合えばクリアできるのではないか?と安易な対策が考えられたところですが、単にこの制度の適用を回避するためのものと判断されるような株式の保有は否認されるのではないか、と税務情報誌をはじめとして、各所でいわれています。 確かに、実際に必然性のない株式保有を今期になって急に始めた、といった場合、税務当局がどのように判断するかを考えると、こうした対策は有効でない可能性が高いといえます。 ただし、従業員持株会は今年始めても有効と考えられていますので、これを検討するのも1つかもしれません。 また、株を動かさないのであれば役員になります。 たとえば、常勤の役員が実質社長だけの会社は、従業員から役員を1人登用するというのがあると思います。 (ぎりぎり過半数になりません) もちろん、役員にしてしまうと、役員給与は期中は増減させることが実質できないため、別の面で不自由になります。

なお、この計算では常勤役員だけを数えます(=親族の常勤役員/常勤役員、これが5割を超えているかどうか)ので、名義上の役員がいても、分母にも分子にも入りませんから注意が必要です。

この規定には、適用が除外されるケースもあり、また、該当した場合でも計算も難しいので、まだ時間はありますが、しっかりと研究して備える必要がありそうです。たとえば、国税庁タックスアンサーでも、「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」として説明が掲げられています。(http://www.taxanswer.nta.go.jp/5207.htm)