(メルマガ)タックスヘイブン

  • レポート
  • 2016.04.15

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~成功の研究~
知って得する起業とビジネスのヒント

─────────────── 第163号

多様なビジネスの現場に深くかかわる公認
会計士・税理士の立場で、見たこと・得た
知識・感じたことを、特に起業を志す人や
スモールビジネスの経営者の成功につなが
るよう、楽しく・分かりやすくお届けしま
す。

なお、筆者執筆中の税理士法人ASC・
(株)エーエスシー・中村会計HPのA
SCレポート
(http://www.asc-report.jp/)との関係
は次の通りです。
1)月末:ASCレポートの一部要約版
2)月中:メルマガのオリジナル
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目次
■今回のテーマ:タックスヘイブン
■まとめ
■編集後記
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パナマ文書が話題です。

一部の国の首脳も含む大金持ちが、ペーパ
ーカンパニーにオカネを動かして税金逃れ
をしていた。
その設立にかかわった法律事務所の内部資
料が大量に出回って大問題になっていると
いう話。

プーチン大統領や習近平国家主席といった
、民主主義社会にいない人たちだけでなく
、イギリスの首相の親族までそこに名を連
ねているとあって、話題に事欠きません。

このタックスヘイブン。
私たち会計事務所も、時に真剣に検討する
テーマです。

なぜなら、日本の国税当局は、
タックスヘイブン=租税回避地=税率20
%未満の国と定義し、タックスヘイブン対
策税制というものを適用してくるからです

これは簡単に言うと、
日本人や日本の会社が、タックスヘイブン
にある会社の株主の場合、現地での利益で
あっても日本で課税するという制度。

たとえば、税率の低いシンガポール(=タ
ックスヘイブン)にペーパーカンパニーを
作ってそこに利益を飛ばす。
あるいは、儲かる案件をそのシンガポール
の会社で請ける。

その場合、日本で税金がかかります。
稼いだ利益は日本の所得に合算されて課税
されるからです。
(だからタックスヘイブン対策税制は、別
名「外国子会社合算税制」と言います。)

それでも海外に出ていくオカネはあります
から、最近の税務当局はこのあたりの対応
に厳格になっています。

私の感覚にすぎませんが、取引先や関係会
社(具体的には送金相手先)に香港やシン
ガポール、ケイマン、英領バージン諸島等
が登場する場合、税務調査が普通の会社以
上に行われ、細かく見られることが多い。

それも通常は法人課税第○部門が来るとこ
ろが、税務署をまたぐ「広域」という動き
をする国際課税担当が数人がかりで来たり
して。

そこで問われる根本的なテーマは、
「なぜその会社を通す必要があるのですか
?」
です。

特に日本の顧客に商品やサービスを提供す
る場合、タックスヘイブンにある会社を挟
む合理的な理由があるのか。

これに答えられなければ、いかに形式面を
整えてもNGです。

税務調査に何度も立ち会っていると分かり
ますが、
最終的に
「本当にそれで良いと思ってるのですか?

と聞かれたとき、堂々とYESと言えない
ものは、集中的に突かれたときに支えるの
が難しい。
(実際には、こんなにストレートに聞かれ
ることはありません。)

経費でもなんでもそうです。

それに照らすと、タックスヘイブンを使っ
て安易に税金を逃れようとするのは止めた
方が良いと思います。

道義的にどうかという以前に、必要以上に
税務当局にマークされ、普通の会社なら取
り上げられないようなものまで検討対象に
なりがちです。

それなら日本で合法的な節税をし、それで
も残ったものに課税されていた方がよほど
賢い。

かなり正論だと思っているのですが、現地
のなんとかコンサルタントと称する人達は
そんな税理士の言うことを聞いてちゃダメ
だ、といった話をしますから難しいですね

でも、その人たちが税務調査に立ち会うな
ら良いですが、絶対にありません。
なぜなら、その人達が日本の税理士である
確率はほぼゼロで、そうでない限りそもそ
も法律上立ち会うことはできないからです

(それ以前に、税務調査になると連絡が取
れなくなることもありますし)

なので、あまり気軽に海外を使えば税金を
払わなくて良くなる、とか思わない方が良
いのは確か。

今回は旬なネタに絡めて、時に私たちが接
するテーマを取り上げました。

(補足)
上記の「現地の何とかコンサルタント」と
いうのは、私が接してきた経験に限った話
です。

世の中には、もっと高度に理論武装し、完
璧なアドバイスをするコンサルタント(会
社)もあるでしょうから、それらアドバイ
スをする人・会社全体を指して批判したり
貶めているわけではないのでご了承くださ
い。

■まとめ
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タックスヘイブンは思いつき程度では使わ
ない方が良い

■編集後記
___________________

近所のお子さんが小学校1年生になりまし
た。

少子化が進んでいると聞きますが、マンシ
ョンが乱立するうちの近所では違うようで
、1学年6クラスだそうです。

一方で、先日お客様の不動産事業者さんが
札幌の街を見てきたら、入居者が全く入っ
ていないビルがいくつもあったとのこと。

東京への人口集中は収まるどころか加速し
ているのかもしれません。

長期的観点で進める不動産経営は、国内で
あればやはり東京を軸に展開した方が良い
のではないか。

以前書いたのと同じようなことを考えたり
しています。

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