第168回 かつて接した調査官

  • レポート
  • 2019.06.30

私も会計事務所を始めてそろそろ20年。
その過程で多くの税務調査官に接してきました。

 

100人を簡単に超えると思いますが、その中でも印象に残った方達について書いてみます。

 

1.東京上野署のM上席調査官
私にとって初めての税務調査。
それこそ20年近く前になります。

既に40後半から50代前半だったその調査官。
今は退官され70前後だと思います。

緊張もしていましたし、私の経験が浅いことがすぐにわかったのでしょう。

そこに付け入ることなく、「先生こうではないですか」と今思い返しても最低限の指摘事項に留め、修正申告の原案まで手書きで作ってくれました。

Mさんのお名前、難しい字だったこともあって、人となりとともに今でも鮮明に覚えています。

手心も加えてくれたのかもしれません。

逆の立場で当時のM上席と同じような年になった私は、若手の調査官に偉そうにしてはいけません。

 

2.国税局資料調査課の調査官(実査官)
厳密には調査官ではなく、資料調査課(リョウチョウ)の人達は「実査官」と称し、名刺にもそう書いてあるですが、調査を受ける方としてはまぁ同じですね。

以下はいまだに悪夢のようです。
https://www.ascinc.co.jp/report/328/

 

また、これとは別のリョウチョウ案件も対応しました。
身構えましたが、やはり1週間ほどかかったものの、スパッと話が終わりました。

切れ者達が来て、お客様も「実は・・・」というのがあり。
こっちも1.の時代を過ぎて手馴れていたことも手伝って、ものすごい勢いで結果をまとめて爽やかに「お世話になりました。ありがとうございました。」と帰っていきました。

「悪夢」の時は男だらけで所轄署の応援も含めて最大15人近く。
お客様の事務所をうろうろして本当にむさくるしかったのですが、この時は若い女性の実査官もいて、それだけで雰囲気が和らいだことを覚えています。

 

3.地方の調査官たち
(四国)
「会社のクルマで来ました」とお母さん調査官でした。

会社って言うんですね、と言うと、
あ、おかしいですか?
私達は少し職業を伝えにくいことがあるので、とのこと。

ママ友にも「公務員です」、で留めるようにしたり、気を遣っているようでした。
明日○時の飛行機ということですから早めにやりますね、と私にも気を遣っていただきました。

 

(東北)
震災後の津波の後のことを調査官と社長とがしみじみ語らっているのに接しました。
木の枝に人の腕が絡まっていたとか。
私ともう一人で同席したのですが、入り込む余地のない領域があるように感じました。

その調査官には、私の手持ちのPCであれこれデータを見せていたのですが、少し調子に乗って余計なものまで見せてしまい、「あれ?」とか言われて冷や汗をかいたことを覚えています。

 

(北海道)
調査官達は車にノートPC、プリンター、コピー機を積んでやってきました。

東京(少なくとも23区内)の調査官は徒歩で、かつこうしたITデバイスは間違っても持ってきません。
最近は、調査対象会社の申告書や決算書まで持ってこないので調査に支障が出ることもありますが、途中でなくしたら大変なことになるからだそうです。
(たしかに人数も多いので、中にはそういうこともあるのかもしれません。)

そんな北海道の調査官
花粉症だというので何の花粉ですかと聞いたら「シラカバです」とのこと。
なんか素敵。

 

4.再任用の調査官たち
再任用とは、60歳を過ぎて、65歳までの間嘱託扱いで過ごす調査官。
偉かった人が、かつての部下の下に入ってノルマとは無縁に過ごします。

プレッシャーからも解放されているようで、「良いおじいちゃん」という方も少なくありません。

おしゃべりな人も多く、同行する若手の調査官が困惑する場面もあったりします。

 

先日の4月1日もそのような調査官が1人で来られた調査に立ち会っていました。
朝、何かそわそわしています。

調査官「社長、そろそろですね」
社長「え、何がですか?」

調査官「発表じゃないですか、元号。そろそろ11時半ですよ。」

会議室にテレビがあるので、社長が冗談半分に「つけますか?」と聞いたら
「はい。お願いします!」

菅官房長官の令和の発表、調査官、社長、私とうちの事務所スタッフの4人で見届けました。

 

5.若手の調査官たち
正確には調査官になる前の「事務官」であることも多いのですが、小さな会社の場合、まだ現場に出すのは、出す方としても心配だろうなという人達が1人で来ることがあります。
(最近は上司目線、親目線で見てしまうことも多いのでなおさら)

 

本当に頼りなくて2日目に上席や統括が合流してくることもありますが、それ以外のほとんどの人は、かなりちゃんと仕上げていきます。

1人で来ても、帰れば上司や審理といった別の部署のチェックが入るので、実は何ら油断するような相手ではありません。

 

ただ、社長としてみるとどうしても若いので、まぁ頑張ってくださいという感じになり、痛いところを指摘されると「あの若造、小娘にやられた」となりやすい。

そんなこんなで彼らも苦労しているようで、別の会社の調査では、怒った社長に写真を撮られてSNSに上げられて大変だったと言っていました。

 

結構ありますね。

敵とも言える立場の方々ですが、お世話になりました。
私もそんな方々に鍛えられ、だいたい彼らの思考や行動様式もわかってきました。

既にこの時期から来月の調査予約が2件入っておりますし、ネタに事欠きません。
(7月10日に税務署の異動があるので、この時期からの調査予約は本来はあまり入らないので)

まだまだたくさんあるので、「調査官列伝」でもシリーズ化しようかな。

 

*************************** まとめ ********************************

 

調査官もいろいろ
ネタはたくさんあるので「調査官列伝」シリーズを始めようかな。

 

***************************あとがき*********************************

 

お客様には多くの業界があって、スーツ以外の仕事着でお迎えいただける会社さんもあります。

白衣だったり、蛍光色のツナギだったり、エプロン姿だったり、いろいろあるのですが、

私が昔から格好良いな、と思うのは、
工場や作業現場がある会社の事務系の人が着用されているこんなもの
https://store.workman.co.jp/item/item.html?i=203
(本当のイメージはこの写真と違って紺色なのですが)

 

スーツのズボンにワイシャツ&ネクタイ、
その上にこれを羽織り、腕にペンを何本か刺したりして。

胸には会社名の刺繍(何と言っても紺地にオレンジ色で!)が入っていて、時に何かの腕章。

事務所の壁にはヘルメット。
場合によってはさらに神棚。

働いている感じがします。
うん、格好良い。

 

女性達もスカートの上におそろいでこれを着ていたりすることがあって、それもGood。

 

これならうちの事務所でも導入できるのではないか、と考えたことがあったくらいです。
ただ反対されて誰も着ないだろうし、冷静に考えれば必要ないし、見送りました。

 

このアイデアを披露するのは初めてなので、そんなことを考えていたのか、とこれを読んだスタッフ達にあきれられてしまうと思いますが。