(メルマガ)グレーとブラック

  • レポート
  • 2019.07.15

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~成功の研究~
知って得する起業とビジネスのヒント

─────────────── 第241号

多様なビジネスの現場に深くかかわる公認
会計士・税理士の立場で、見たこと・得た
知識・感じたことを、特に起業を志す人や
スモールビジネスの経営者の成功につなが
るよう、楽しく・分かりやすくお届けしま
す。
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目次
■今回のテーマ:グレーとブラック
■まとめ
■編集後記
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前回に続いて税金の話。

お客様との間で、ある事案に対し、これは
グレーだブラックだという話になることが
あります。

ただ、このグレーに対する考え方がお客様
と違う場合があって、そのすり合わせが必
要な場合があります。

私達がグレーというのは、
税務署と見解が相違する可能性がある、と
いう意味です。

一方、時にお客様がグレーというとき
「バレやすいかどうか」を意味しているこ
とがあります。

バレたらダメだけど、バレる可能性が低い。
だからホワイトに近いグレーだ。

!?

私達からすれば全然違います。

まず、見つかって申し開きができないもの
はブラックそのものです。

さらに、その考え方で対処すれば当然隠す
方向に持っていくわけでしょうから、真っ
黒です。

仮装または隠ぺいをした、は本税(本来の
税金)に加えて、重加算税という懲罰的に
加重された税金の課税要件を満たします。

その背景にはネット、時には本にも無責任
な話があり、乗せられたお客様(特に個人
の方)の対応に困ることがあります。

たとえば、個人で賃貸不動産を買った方。

サラリーマンで給与に源泉徴収されてきた
反動から、時に何でも経費をつけようとし
ます。

友人もやっている、ネットでやっている人
のブログを見た。
これで調査官が説得できるはずがありませ
ん。

どうせネットを見るのであれば、
国税庁のタックスアンサー
もしくは
国税不服審判所の裁決事例
を見てください。

(本当はその先で裁判になった事案であれ
ば判例もなのですが)

同じネットでも、これらが根拠であれば調
査官は十分に説得できます。

「タックスアンサーに出ていますよ。」
「裁決事例で同じものがありますが。」

調査官は「え?」となって、真剣に検討す
るはず。

その前に、自分のやろうとしていることが
大丈夫かどうかの判断ができます。

個人の不動産業の例であれば
経費をつけまくって国税不服審判所で裁決
された事例があります。
http://www.kfs.go.jp/service/JP/82/05/index.html

抜粋し、重要な点を【】でくくりますので
【】の中だけ拾い読みしてもらって結構で
す。

「請求人は、その他の【経費として、飲食
代及びタクシー代等が必要経費に算入され
るべきである旨主張するが、請求人は、飲
食時における情報収集の内容や現地調査の
対象となった物件などについての具体的な
説明や、それを合理的に裏付ける証拠は提
出していない。】

かえって、当審判所の調査の結果によれば、
請求人が飲食の相手方として仕訳日記帳の
摘要欄に記載している者の中には、H社の同
僚等が含まれていること、上記タクシー代
の支払が年間200件を超え、その多くが飲食
店で飲食をした日と同じ日に支払われてい
ることが認められ、これに、請求人が、上
記1の(4)のイのとおり、平日はH社の執行役
員として同社に勤務していたことを併せ考
えると、【請求人が主張する飲食代及びタ
クシー代の多くは、請求人が同僚等との飲
食に際して支払った飲食代及びその際のタ
クシー代であったとも推認される。】

B また、請求人は、当審判所に対し、【上
記飲食代及びタクシー代以外のその他の経
費の内容について、祈祷料、宅配便代、電
子機器代、事務用品代、カード年会費、ス
ーツ代、作業着代、廃品処理代、備品代、
自転車代、コンタクトレンズ代及びコンタ
クトレンズ購入に際しての診察代】である
などと抽象的な説明をするのみで、具体的
な説明をすることなしに、これらの経費が
必要経費に当たると主張する。
しかし、【これらは、通常、家事上の経
費】としても必要な支出であると解される
ところ、【これらの経費と不動産賃貸業と
の関連性を示す証拠は何ら見当たらない。
】」

ネットにも有用な情報がありますから、グ
レーな事案の参考にしてください。

重ねて言いますが、グレー=バレやすい、
という意味ではなく、見解の相違がありそ
うな、という意味で。

■まとめ
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グレー=バレそう、ではない。

ネットで判断するなら信頼できるソースで。

■編集後記
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事務所のメンバーと日々順番にランチをと
るようにしています。

先日は若い女性社員とでした。

家の片づけの話になって、私がなるべくモ
ノは捨てるようにしている、と言いました。

死んだとき、自分のモノがほとんどないっ
て格好良いかも、とか言っていたら、

「あ、もう終活なんですね」
と言われました。

「いいえ、違います」

まだまだ頑張ります!

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