第31回 今度は「となりの億万長者」について

  • レポート
  • 2007.10.09

前回「金持ち父さん貧乏父さん」(著者 ロバート・キヨサキ)に出てくるような社長のお話をしました。 今回は「となりの億万長者」(著者 トマス・J・スタンリー/ウィリアム・J・ダンコ)の本に出てくるような社長のお話です。

「となりの億万長者」は、いろいろな本で引用されたりするために読まれた方もいらっしゃるかもしれません。 この本は、著者が信託銀行に頼まれて、お金持ちとはどのような人達でどこにいるのか、という調査を始めたところ、当初想定していたのと異なり、彼らは高級住宅街には住んでおらず、高価な装飾品もつけておらず、一見普通の中流階級の人のようだった、というところから始まる調査結果を著した本です。

もちろんお金持ちは高級住宅街にもいるのですが、高級住宅街に住んだ場合に発生するあらゆる支出パターン(高級服、高級車、私立学校等々)によって、稼いでいる割にはオカネを残していないようなのです。 また、職業でも、一般にオカネを稼いでいそう、と見られる職業(たとえば弁護士)よりも、ごく普通の職業(商売)に携わっている人が多いというのも調査によって明らかになったそうです。 これは、高級住宅街同様、弁護士であればそれに見合ったステイタスを示すべく、オカネをかけざるを得ない、という事情があるから、とのこと。 稼ぎに対してどれだけ資産形成をしているか、その結果、どちらに軍配が上がるか、という点に注目した良著です。

上記の通り、これによると、お金持ちの多くは、普通の住宅街に住んでいて、仕事熱心で夫婦ともに無駄遣いはせず、外から見るとお金持ちには見えない人だそうです。 そして、今現在お金持ち、というのは、一代で大きな資産を得た人達が中心になっています。 というのも、代々お金持ちを続けることは難しいようで、お金持ちの子供はどうしても自ら稼ぎ、資産を形成することの大事さを真剣にとらえにくいからとのこと。 ただし、この中の賢明な人達は、ご近所にはもちろん、子供にさえ家が金持ちであることを感じさせないようで、このような場合にあっては、子供は経済的に自立した生活を送ることのできる能力を得て、かつ、両親の死後、「自分の家はこんなに金持ちだったのか」ということを知ることになるようです。

私共のお客様に、この本を読んだわけではないでしょうが、まさにこのような社長がいらっしゃいます。

その社長はこれまでのご商売で十分な資産を持ち、現在のご商売でも十分大きな所得を得ています。 投資用不動産も所有していて、さらに会社の売却で得た数億円もあり、その意味で億万長者と言ってよいのだと思います。

しかし、見た目はまさに中小企業の親父です。 乗られている車は商業用のワゴン車で、住宅も地方で一サラリーマンがローンを組んでようやく買った、という程度のお宅です。 ブランドものを身に付けているわけでもなく、また、お子さんが何か贅沢なモノをねだると、半ば冗談気味ですが、「うちは貧乏だから買えない。我慢しろ。」と言って一刀両断しています。 50過ぎてお子さんがまだ幼いため、社会に出て独り立ちするまでに十分なオカネは用意してあげたい、ということですが、本人には微塵もそのことは感じさせない徹底ぶりで、お子さんご自身は自分の家は普通の家庭で、下手をすると本当に貧乏だと思っているかもしれません。

先日もお子さんが、大金=百万円、という感じで友達に聞いてきたらしく、社長に百万円ってどのくらい?と聞いたのですが、それに対して「どのくらいだろうねえ」とお答えになっていました。

ただ、要所でのカネは惜しまず、従業員も他社以上に大事にされておりますし、私共の事務所も大事にしていただいております。 また、即決で驚く投資をしたりしますから、ケチでないどころか、ビジネス面ではむしろ他の社長よりもちゃんとオカネを使う方かもしれません。

たくさん稼いだのだから個人的にもバンバン使って車や豪邸を買う、というオカネを持っているからこそのスタイルももちろんあるのだと思います。 (実際、このような社長達にもお世話になっていますし、それぞれ皆さん魅力的です。) ただ、そうでない「となりの億万長者」的な生き方も良いな、と思いますし、この本が紹介されているときにつけられるキャッチフレーズ同様「自分も(その一部でも)を真似できるかもしれない」とも思ったりする次第です。

前回同様の結論ですが、私共はこのようにさまざまなお客様にお世話になって、勉強しながらお仕事をさせていただいております。 お客様にも同等以上の価値を与えられるよう、これからも頑張っていきます。