第30回 近くにいた金持ち父さん

  • レポート
  • 2007.09.01

「金持ち父さん貧乏父さん」(著者 ロバート・キヨサキ)という本があります。 一時期ベストセラーになったこともあり、読まれた方もいらっしゃるかもしれません。

私も、これを含め、いわゆる金持ち父さんシリーズを読みました。 金銭的独立を追及することの大切さを訴える良著である一方で、真面目に働いている人を少し馬鹿にしていると受け取れる面もあり、その点はどうかな、ということもないわけではありません。

この中で著者は、一般に「資産」とされるものの概念を疑っています。 個人であれば自宅や自家用車を資産だと思っている人がいるが、実は違う、ということです。

著者の定義では、「資産」とはキャッシュを生み出すもの、とされています。 つまり、不動産であれば投資用不動産はキャッシュを生むから資産であるが、借金を返済しながら住む自宅は、自分の懐からキャッシュをもっていく負債にしかすぎない、という考え方です。 会計学での資産・負債概念から言えば少しおかしな理論なのですが、(あえて専門的に解釈すれば費用性資産は資産でない、という理解に近いのかもしれませんが、それでも正確に言い表せていません)、このような考え方は1つの指針として面白いと思います。

そのような考え方もあるのだな、と思っていた矢先、お客様で不動産事業会社の社長のお一人とお話していたところ、ちょうど同じような考え方によるお話を伺いました。

その社長は、「たとえば自分が余裕資金として1000万のオカネを持っていて1000万の車をほしいとき 自分は現金で直接車は買わない 車はローンで買って、1000万で中古マンションを買い、それでローンを返済する」 というのです。 車のローンの料率は、中古マンションの利益率よりも一般に5%以上低いこと、また、社長ご自身目利きなので、場合によっては値上がりする物件を選定できるためだからなのでしょう。 確かに、車を買ってしまえばそこで終わりなのに対し、後者だと車とマンションが手に入ることになります。 (ただし、マンションの運用益、売却益だけでローンの全額を返せる、という単純な場合ばかりではないと思いますが、得するチャンスが広がっている点は確かです)

このようなお話をいくつかされ、お聞きしているうちに、だんだんと金持ち父さんと話している気分になってきました。(実際、その社長も金持ちで、家族を持たれたお父さんですが) そして、改めて資産に対する別の考え方について勉強させていただきました。

私共にはお蔭様で、ここで掲げた不動産事業のほかにも多様な業種のお客様がありますが、その会社の人達は、当然のことながらその業界のプロであるわけです。 幸運なことに、私共はその経営者の方々とお話させていただく機会がしばしばあります。

たまたま私共は会計税務のプロとしてお仕事させていただいておりますが、それ以外の分野においては単なる素人であって、お付き合いさせていただく中で勉強させていただくことも多くあります。

このような形で勉強させていただくことに感謝するとともに、それと同等以上のことを与えられることができるよう、これからも自ら勉強して努力していきたいと考えております。