第227回 地面師の舞台にて

  • レポート
  • 2024.05.31

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お客様の紹介で『保身 クーデターの深層
』(藤岡雅著、2021年5月KADOKAWA)
https://www.amazon.co.jp/dp/4041097568
を読んだことがあります。

日本中が驚いた、不動産大手の積水ハウス
が、「地面師」グループ、要は詐欺グルー
プにだまされてしまった事件を扱っていま
す。

なかなか買えないことで有名な土地
その所有者とコンタクトできた。
売ってもらえるかもしれない。
もたもたして他社に先を越されてはいけな
い。

積水ハウスには焦りがありました。

早々に社長が現地視察に行っていることが
社内で共有されたため、稟議の過程でスト
ップできる人がいなくなります。

多くの社員が関わりながら、その何重もの
決裁を通り、都度存在した違和感がスルー
され、取引が進められてしまいました。

本当の地権者から、「お宅が取引しようと
している人は別人だ」と郵便が届きますが、
取引を邪魔しようとする怪文書と片付けら
れてしまいます。

所有者(役)が自分の生年月日や干支を言
い間違えてもスルー。

本来されるはずのその他の本人確認手続き
も実質的に省略され、そのまま突き進んで、
50億円以上を支払ってしまいます。

結果、その所有権移転登記が法務局で受け
付けられることはありませんでした。
本当の地権者から、法務局にも事前に通報
があったと言われています。

その後、一部が海外に逃亡した地面師グル
ープたちが逮捕されたことが大々的に報道
されましたが、オカネは戻りませんでした。

以前、不動産業のお客様から、
不動産取引で売り手が騙されることはない。
オカネをもらえなければ登記しないので、
と聞いた話をしました。

一方で買い手は、本当の所有者でない人に
オカネを払って今回のように騙されること
がある、とのことでした。

この本は、騙されたところで終わらず、か
かわった経営陣が、責任を取るどころか、
追及してくる勢力を政治的に跳ね返して逆
に追い詰め、調査報告書が隠蔽されたこと
までを追っています。

これを面白いと紹介してくれたのは若い女
性社長だったのですが、私のようなおじさ
ん世代の方が、より面白いと思う人が多そ
うな内容だと思いました。

そもそもこのこの舞台となったのは、JR
山手線五反田駅から徒歩数分の土地。
良く知っていました。

目黒川沿いに、営業しているのかわからな
いような古い旅館がずっとあったのですが、
当時あった客先に行く際に何度も前を通り
ましたし、五反田駅周辺で違和感とともに
目立っていたので、ご存じの方も多いと思
います。

実際、ある方が2010年に書かれた記事
・写真はそのころの様子を伝えています。
https://tokyodeep.info/gotanda-umikikan/#google_vignette

では、その後この土地はどうなったか。


旭化成がモノにして、『アトラスタワー五
反田』という高層マンションになりました。
https://www.afr-web.co.jp/atlas/cs/report/gotanda.html/
今年3月の完成・引渡し。


実は先日、そのマンションにひょんなこと
で行ってきました!

今月中旬、お客様(五反田)の税務調査に
立ち会ったときのことです。

調査官たちを送り出したお昼休憩の前

お客様から
「そういえばあのマンションを買って、ま
だ何も入ってないけど見ます?」とお誘い
をいただきました。

「あのマンション」が、このマンションで
した。

え、いいんですか。
調査に同席したうちの事務所スタッフと2
人で、昼食後見せてもらうことに。

税務調査の対象期間では、決算書にはマン
ション購入のための着手金が「前渡金」と
して登場していたただけなので、当日の調
査でもなんらテーマとなっておらず、単純
に見学です。

実際行ってみると、、、、

旅館跡地も、大きなマンションを建てるに
は少し狭かったのかもしれません。

エントランス周辺のゆとりがない、全体的
に天井が低い、といったところは気になり
ましたが、目黒川越しに見るすぐ近くの五
反田駅。

抜群の好立地は間違いない資産価値を感じ
させるのに十分でした。


ひやひやする瞬間を何度もくぐり抜けて「
いけた!」とわかった時、地面師グループ
たちはどんな気持ちだったのだろうか。

「騙された!」とわかった時、かかわった
人たちはどんな気持ちだったのだろうか。
その舞台となった場所で思いを馳せました。

今回は、お勧めの本を、その舞台を訪ねた
最近の私の体験を添えてご紹介しました。

ご興味あればご一読ください。


■まとめ
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お勧め本。
その舞台に、税務調査の合間に行ってきま
した。

■編集後記
___________________

税務調査の際は、いつもよりも長時間、お
客様の事務所で過ごします。

今回もそうでした。

調査官対応は気が抜けませんが、
社長のお若い頃の話、今気になっているこ
と、自慢したい商品、従業員さんのお話。
色々聞くことができる貴重な機会でもあり
ます。

それぞれに深い人生があって、
そんな多くのお客様に様々な経緯を経てご
縁をいただき、関与させていただいている
ことに感謝です。

ちなみに今回のお客様はパパ友。
人の縁とは不思議なものだと思います。