第7回 1円で作る株式会社(最低資本金の規制緩和)について

  • レポート
  • 2003.02.10

先日緩和された最低資本金制度(1円でも株式会社が作れるようになった、という制度)についてです。 私共でも会社設立の段階からお手伝いをするのですが、その際、やはり株式会社が良いけど1千万円の資本金がなぁ、というのは良く伺う最初の悩みです。 今回は、あれこれコメントを書く前に、1円で株式会社を作る手順を示しました。 もちろん、私共ではこのような特殊な会社の立ち上げもお手伝いしておりますが、自分でやってみよう、と思う人にも役立つように簡潔にポイントを示したいと思います。

つくりかた   [ ]内は、一般の会社設立でも必要な手続です。
[ 1.定款を作成する]   (!)解散事由(*1)を入れる必要があります
[ 2.公証人の認証を受ける ]
3.経済産業局に下記を添えた確認申請書を提出する  A.定款(認証済)  B.創業者であることの誓約書  C.事業を営んでいない個人であることを証明する書類(*2)
4.経済産業局より確認書が交付される。
[ 5.登記申請書を作成・提出する。]   (!)確認書の添付が必要です。   (!)通常必要とされる銀行の払込保管証明が不要です。   (!)解散事由を登記しなければなりません。
6.登記完了後、経済産業局に謄本とともに成立を届け出る。
[ 7.税務署や都道府県税事務所、自治体に届け出る]
8.毎期、経済産業局に決算書を提出する。(公開される)

(*1)解散事由  この特例は、5年以内に最低資本金(有限会社3百万円、株式会社1千万円)をクリアすることが条件になっていて、クリアできない場合は解散することとされています。定款や謄本には、これが明示されていなければなりません。
(*2)事業を営んでいない個人であることを証明する書類  個人事業者や、他の会社の代表者はこの制度を受けられません。つまり個人事業者なら、廃業の届出をしてからになります。また、今経営している会社とは別にもう1社作りたい、という場合には使えません。 なお、経済産業局のHP(http://www.kanto.meti.go.jp/)でも「新事業創出促進法の改正」という形で資料が示されていますので、こちらも参考にできると思います。

(コメント) 上記の通り、一手間増えますが、通常の会社を作る場合に比べて非現実的な煩雑な手続が発生する、というようなものではありません。そのため、有効な選択肢の一つと言えると思います。 ただ、話題性を狙う場合は別として、1円で作るようなことは避けた方がよいと思います。 なぜなら、自分でやったとしても株式会社なら設立に30万円弱かかるわけですが、それは普通なら会社に負担してもらえます。つまり、最低でも資本金は30万円からスタートすべきだし、できるわけです。 もっといえば、会社は最初の売上が入金されるよりも前にオカネが出て行くのが普通ですから、資本金がゼロに近い会社は、社長や役員個人から不自然な借入を立てたりせざるを得ません。 会計上これらを反映していくと、結果的にはいわゆる汚い決算書ができあがります。 会社の運営上は、普通100万、200万はすぐにでも必要になる以上、この制度を使うにしても、やはりそのくらいの資本金は用意しておいた方がよいのではないでしょうか。