(メルマガ)不労所得

  • レポート
  • 2024.03.15

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不労所得

あまり良い響きではありません。

ただ、大企業と中小企業。
そこで働く従業員の待遇の差を何が分けて
いるのかを考えたとき、ここに行き着くの
ではないかと私は考えています。

一般に、大企業の社員の待遇が良いのは、
全員が優秀だったり人一倍働いているから
ではなく、広い意味での不労所得が多いか
らではないかと。

これはつい最近考えたことではなく、かね
てよりぼんやり考えてきたことです。

独立されるお客様・社長達は、自分1人で
会社を興すくらいですから、それぞれは大
企業にお勤めの方たちに引けを取らないど
ころか完勝できる人材です。

なのに、その人がガムシャラに働いても、
能力的にはそれ以下の、大企業でゆっくり
している人の収入には及ばないことも結構
あります。
(もちろん、うまくいった場合には、その
何倍もの収入になりますが)

そしてそれは「まぁそういうもんだよね」
となっています。
中小企業なんだから、と。

ではこの違いはどこから生まれるのか。
それが広い意味での不労所得だと考えるわ
けです。

「不労所得とは失礼な」と言われるかもし
れませんが、たとえばソニーという会社。

ソニーのブランド、プロダクトは、ソニー
という会社自らが生み出してきたわけです
から、会社全体から見たら不労所得という
のは適当ではありません。

でも、たとえば現在ソニーの管理部門でお
勤めのAさん個人にとってみたらどうか。

先輩が作り上げてきたものによって得られ
ている価値です。
たとえばそれによるライセンス収入があり
ました、となったら、まさに不労所得。
この点においては、親の遺産で食っている
息子と変わりません。

同じように、大きな歴史ある会社には、先
輩が遺した技術・商品・設備・ブランド・
ライセンス・システム・ノウハウ・カネが
あります。

そしてさらに、今現在も自分以外の多くの
同僚の働きがあります。
これだって広い意味での不労所得。

自分が売らなくたって、同僚の誰かが売っ
て稼いでくる仕組みになっているので自分
にもオカネが入る。

自分はその一部を担うことでより報われや
すい仕組みになっています。
要は「不労所得」と、正確には分業による
「規模の経済」とが組み合わさって、成果
を受け取れる状態。

これで確保された余裕によって会社は仕事
を選べますし、社員は細かいカネを争うこ
となく、さらに余裕を生み出すために力を
注げます。

ただ一方で、歴史や規模は負の遺産ももた
らすでしょうし、今の時代にそぐわない慣
習、スピード感の欠如、官僚化と減点主義、
という側面もあります。

ですから、歴史と規模さえあれば良いもの
ではありません。

また、歴史と規模がなければ不労所得が得
られないかというとそうでもない。

不労所得という言葉が適当でなければ、
このメルマガでもたびたび触れている言葉
に置き換えて「余裕」としましょう。
そして、それを得るための活動を「投資」
とするなら、その「投資」の視点を持てば
良いと思います。

たとえば、IT業界で独立する社長がいら
っしゃいます。

私が会計事務所を始めたのはまさに第一次
ITバブルの最中でしたから、この業界の
方々とのお付き合いは長く、その過程でよ
り多くのものを見せていただきました。

IT業界で独立される社長が直面して悩ま
れることで多いのは「受託開発」一本で行
くのか、「保守」のようなそれ以外の要素
を含めていくのか。

短期的には「受託開発」はありがたい。
一定の金額が保証されていて、心配するの
はマンパワーの確保と取りっぱぐれくらい。
経営が安定します。

でも、少し落ち着くと、
作業を止めたら、オカネの入りも止まって
しまう。
動き続けるしかないことに気づきます。

これでは、何か別のことをやろうにも時間
が取れない。
「自社プロダクトの開発」などやる暇もな
い。
自分が独立するのはこのためだったのか、
という自問。

そのためには、単価は低くて儲からないか
もしれないが、安定した「保守」のような
仕事も必要だ、ということになります。

完成したら終わりにせず、その後もチャリ
チャリ入る仕組みを加えて提案する、とい
ったことをしていくわけです。

単に頼まれた仕事をこなす以上の工夫や努
力が必要になりますが、それを「投資」だ
と思って。

少数精鋭で、保守は自分達より下のレベル
の作業だ、とか言うのではなく、そこを取
り込むことで余裕を持つ。

それによって、自分が上のレベル、儲かる
かもしれないが見通しにくい仕事を手掛け
たり、逆に、割に合わない仕事は断れる、
という余裕を持てるようになります。

なお、上記ではわかりやすいために、「保
守」の例を出しましたが、もちろんそれ以
外の何かで結構です。

また、なんだ会社の話か、と自分は社長で
はないし無関係、などと思わず、投資を広
く考えたらどうかと思います。

個人であっても、仕事を効率化するやり方
やツールを導入する。

その時だけは余分な時間がかかっても、翌
月からは省力化されて半分以下の時間でで
きるようになった、でも良い。

要は、将来の自分に「余裕」を与える観点
での「投資」的な意思決定と行動を積み重
ねていくわけです。

・・・と、結局今回もまた、「余裕」と、
それをもたらすための長期的な視点での「
投資」の話に行き着きました。

でも繰り返しているということは、それだ
け重要なのだからだと思います。


■まとめ
___________________

今回もまた、「余裕」と、それをもたらす
ための「投資」の話に行き着きました。

■編集後記
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本稿のテーマを思いついたのは、ある業界
紙のランキングで、私共が全国147位の規
模の会計事務所と掲載された旨、朝礼で発
表したことがきっかけでした。
『FIVE STAR MAGAZINE 2024.03月号』

全国の会計事務所は約2万8千あるとされて
いますので、147位は上位0.5%に当たりま
す。

業界には小さいプレイヤーが多いので、70
人台の私共の事務所でも大きい方になるわ
けですが、それでもたしかに数人で経営し
ていた時よりも明らかに余裕ができていま
す。

ノウハウの共有やチェック体制の整備も進
んできました。
ツールやシステムも1人当たりでみれば安
価に良いものが導入できていますし、イレ
ギュラーな事態にも対処しやすくなってい
ます。

たとえば、今であれば同時に2人から産休
の申出を受けても、素直に「おめでとう」
と言えます。

でも5人だったときに同じことが起こった
らどうか。
戦力の40%が離脱する事態に顔が引きつ
ってうまく言えなかったと思います。
そして、上辺だけの祝意は、負のイメージ
として当事者以外にも伝わるはず。

そう考えると、やはり余裕を持つよう心が
けることが重要なのかな、そのためには不
労所得や規模への意識と行動が必要なのか
な、と思い、今後も緩やかでもこの視点で
成長を目指していきたいと考えています。